出産について

妊娠についての基礎知識

妊娠のしくみ

精子と卵子、すなわち男女の性細胞が卵管膨大部付近で出会い、合体することを受精といい、この合体した卵を受精卵と呼びます。この受精卵が子宮内膜に固着(着床)して妊娠成立となります。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、胎芽そして胎児へと成長していきます。

卵子について

ほぼ球形で直径0.25mm、かろうじて肉眼で見える大きさです。通常、次の月経の12~16日前に卵巣から排出され、卵管(ラッパ管)に吸い込まれ子宮の方へと送られます。卵子の寿命は卵巣から排出されてから約24時間で終わります。

精子について

長さ約0.05mm、顕微鏡で見るとおたまじゃくしのような形をしています。頭部・中間部・尾部に分かれ、頭部に父親の遺伝質を含んでいます。1回の射精で3~4ccの精液が出ますが、この中には2~3億の精子が含まれ、通常はこの内の1つが卵子と合体(受精)します。精子は熱や酸に弱く、膣内での寿命は約4~8時間ですが、子宮内に入ると約3日間生きていられます。(個人差があります)

妊娠と超音波検査

妊娠しているかどうかは尿を使った妊娠検査薬で判定できますが正常妊娠であるかどうかは超音波検査を行う必要があります。
超音波検査によれば、妊娠5週には胎児の入っている袋《胎嚢(たいのう)といいます》が子宮の中にあることを確認することができます。妊娠7週になると胎嚢の中に胎児が見えてきます。そして心臓の動きが確認できればひとまず流産の心配はないといえます。が、まだ安心は禁物です。妊娠9週になると胎児の形もはっきりしてきて頭と胴体の区別ができるようになります。さらに10週になると超音波ドプラ法によって胎児の心拍がきこえ、ひと安心ということになります。

超音波検査による胎児の画像

写真:妊娠12週 子宮の中の赤ちゃん

妊娠12週
子宮の中の赤ちゃん

写真:妊娠12週 双子の赤ちゃん

妊娠12週
双子の赤ちゃん

写真:妊娠22週 表情や指の様子が分かります

妊娠22週
表情や指の様子が分かります

写真:妊娠27週 目鼻立ちがしっかりしてきたね

妊娠27週
目鼻立ちがしっかりしてきたね

写真:妊娠35週 あっかんべーをしているみたい

妊娠35週
あっかんべーをしているみたい


映像によって胎児の成長を確認

当院では妊娠初期から診察のたびに超音波検査を行いその写真をお渡ししています。
また、数回の動画DVD(4Dによる)にて撮影し、プレゼントとしてお渡ししています。

分娩時に必要な医学的処置

当院では院長、助産師、看護師が力を合わせて、母児ともに安全に分娩が終了するようにお手伝いを致します。妊娠、分娩は順調に進むことが理想的ですが、時には医学的処置を必要とする場合が生じます。産科の特殊性として、その処置は急を要することもあり、その場でゆっくり説明する時間がないことがあります。そこで、皆様が分娩に臨む前に私たちが日常行なっている分娩時の対応をあらかじめ知っていただくことが大切であると思いますので、下記にご紹介いたします。

陣痛促進剤の使用について

陣痛促進剤は、予定日を過ぎても陣痛が自然にこない場合や、陣痛がきても分娩の進行がみられない場合に行ないます。分娩誘発や陣痛増強は、児にとって利益があると考えられる医学的適応によってのみ行なわれるものであり、病院や医師の都合で分娩誘発をするものではありません。

1)分娩誘発 (予定日を過ぎても、あるいは破水したのに自然陣痛がこない場合に陣痛を誘発すること)

予定日を2週間以上過ぎると、胎盤の機能が低下し、そのまま放置するとお腹の中で赤ちやんの状態が悪くなることがあります。これが過期妊娠です。したがって過期妊娠にならないように、その前に陣痛促進剤を用いて陣痛をおこします。陣痛促進剤は少量から開始し、分娩監視装置により、赤ちやんの状態を胎児心拍で監視し子宮収縮(陣痛の強さ)をモニターしながら投与します。具体的には、陣痛促進剤を500mlの糖液に溶かして低濃度にし、さらに微量調節のできる輸液ポンプを使っています。したがって、子宮収縮が強くなりすぎること(過強陣痛)は通常ありません。万一そのようなことになっても、投与量を減らせぱ子宮収縮を弱められますので、子宮破裂や胎児仮死などの危険は十分に回避できます。このように、細心の注意を払って陣痛促進剤を使用しておりますので、ご安心ください。また、陣痛がないのに破水してしまった場合(前期破水)には、子宮内感染の有無を調ベ、赤ちやんやお母さんの状態を十分に検査した上で、陣痛促進剤を用いて分娩誘発を行ないます。

2)陣痛増強 (陣痛が弱い場合)

陣痛が徐々に強くなると子宮口は開大し、赤ちやんは骨盤の中へ下がってきます。しかし、陣痛は来たものの、なかなか強くならない場合があります。このような場合は、赤ちやんが長時間の子宮収縮によるストレスを被り胎児仮死になったり、また母体も疲労して分娩の進行がさらに遅れる(分娩遷延)ことになります。この場合にも陣痛促進剤を投与します。

会陰切開について

私たちはすべての産婦さんに会陰切開を行なっているわけではありません。膣壁の伸展が十分でないために、分挽の時に膣が裂けると予想される場谷に行なっています。膣壁の縫合には自然に溶ける吸収糸を用いて、可能な限り傷がきれいになるように努力しています。

急速遂娩について

分娩中にお腹の中で赤ちやんの状態が悪くなることがあり、その程度がひどい場合には急いで分娩にしなけれぱなりません。この場合、子宮口が全開で、児頭が吸引分娩を行なえる位置まで下がっていれぱ、経膣分娩による急速遂娩(吸引分娩)を行ない、その以外の場合は帝王切開を行ないます。

1)吸引分娩

経膣分娩の急速遂娩法として吸引分娩を行なうことがあります。児頭に吸引カップを装着し、牽引して胎児を娩出させる方法です。牽引力は鉗子より弱いのですが、あとわずかで児頭が娩出される程度まで下がっていれば、安全にできる急速遂娩です。まれに頭血腫が生じることもありますが、通常自然に吸収されます。

2)帝王切開

帝王切開は、妊娠中や分娩中に胎児の状態が悪くなった時や、妊娠中毒症やさまざまな合併症、さらに母体疲労など母体の調子が思わしくない場合など普通のお産では母児を救うことが難しいと判断した場合に行ないます。現在、帝王切聞は手術法や麻酔法の進歩により、安全に行なわれるようになりましたが、100%安全な方法ではありません。帝王切開では、経膣分娩に比較すると術中の出血や術後の血栓症の危険があります。このような合併症の頻度は高くありませんが、重症の場合は危険です。日本での妊産婦死亡率は年々減っていますが、帝王切開が関与している頻度は高くなっています。さらに、帝王切間をした場合は、次回の分娩で子宮破裂の危険性も生じてきます。したがって、帝王切開を安易に考えてはいけません。私たちは、母体と胎児の状態をあらゆる面から十分に検討した上で、帝王切開が必要と判断した時に、細心の注意を払って施行しています。帝王切開が比較的安全な分娩様式であることは、このような努力の上に成り立っていることを十分に理解してください。

輸血について

帝王切開や吸引分娩、さらに前置胎盤や頚管裂傷などにより、分娩時に思いがけず大量に出血することがあります。出血多量の場合、救命のためには輸血は絶対に必要ですので、輸血をする場合があることを了解しておいてください。輸血する血液はB型・C型肝炎、梅毒、エイズなどに関する検査済みのものですのでご安心ください。また、当院ではあらかめじめ分娩時に出血が予想される妊婦さんに対しては、自己血輸血を行なっております。そのような患者さんへは、妊婦健診時に医師より説明があり、賛同を得られた場合に、自己血輸血の準備をします。

新生児について

新生児について

分娩後の赤ちゃんは原則としてお母さんと一緒にお部屋で過ごしていただきます(母子同室)。
ご希望に応じて新生児室でもお預かりいたします。当院では、常に小児科医と密接な連携をとりながら赤ちゃんの管理を行なっていますので、赤ちゃんに何らかの異常がみられた場合は、小児科医と相談の上、隔離室でお預かりする場合もあります。その際は、院長または小児科担当医からその理由を説明致します。

夫立会い分娩について

夫立会い分娩は、ご主人様に付き添ってもらい、産婦さんに対し精神的なサポートをしていただき、産婦さんの精神的、肉体的苦痛を緩和することを目的としております。このため、ご主人様も妊娠・分娩に関する知識が必要です。当院では、両親学級や母親学級におこなっております。ご希望があれば、ご主人様の参加も可能です。また、分娩中は医師や助産師の指示に従っていただきます。

 両親学級教室他、各教室のご案内

夫立会い分娩について
夫立会い分娩について

当院では妊婦さんに事前に以下のようなアンケートをいただいております。

バースプラン
初めての方へ
施設紹介
出産について
無痛分べんについて
産後ケアについて
妊婦についての基礎知識
分娩予約状況